建築物探訪ブログ

旅行先で訪れた著名な建築物を紹介するブログです。

桃華楽堂

以前、皇居内を軽く見る機会があり、ふと不思議な建物を見つけ、軽く外観を撮影。

 

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外壁には淡い色のモザイク陶片が散りばめられ、空でしょうか、雲や太陽が表現され、空を貫く塔の様な白い陶片で彩られた模様が象られています。また、外へとその体を伸ばしていく花弁の様な屋根も印象的です。

 

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この建物は、桃華楽堂、香淳皇后の御還暦を記念して建てられています。実際に、屋根のデザインはテッセンの花弁を象っているそうです。設計は今井兼次氏、聖フィリッポ西坂教会、長崎日本二十六聖人記念館を設計し、日本にアントニオ・ガウディを紹介した人物です。モザイク陶片を使用した表現、テッセンの花といった実際の自然をデザインに反映するといった手法は、ガウディに強く影響を受けた彼が行なったというのは非常に納得がいきます。

 

桃華楽堂は八角形の平面形をしており、それぞれの壁面には、日月星、松竹梅、楽の音などテーマに合わせたイメージが表現されています。白い陶片によって表現されていたのは白鳥の形象です。(当初は鶴としていたのが、この建物は香淳皇后に向けたもの、鶴は皇太子の象徴であり、採用し難いとのことで以後、白鳥としたとのこと)

 

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左から、松竹梅、楽の音、雪月花

桃華楽堂の外壁には香淳皇后にゆかりのある歌碑が5首配されています。「皇后のお誕生月を讃えるもの、ご長寿を寿ぎ奉るものを選び、御還暦を記念する音楽堂の造形に一段と生命感を寄せたい」と設計者の今井氏は述べています。これらの歌に加え、大伴家持の一首、「はるのそのくれなゐにほふももの花 したてるみちにいてたつをとめて」を添えており、香淳皇后の御雅号「桃苑」が歌言葉の中に含まれていることから選んだとのこと。