町で見つけた建築 1
町を歩いていると、不図目に留まった建物。かなり古めかしい建物ですが、ただの古い建物とは違った様子。近くの警備員の方にこの建物について伺ってみると、以前は隣の銀行の旧店であり、築60年以上前の建築とのこと。現在は市の職業相談室として利用しているそうです。
「かなり古いものだけど、確かに立派なものだよねえ」と警備員さんは言います。
正面ファサードは柱と梁によって構成され、装飾もほとんど排された簡素な姿。厳格な左右対称性、装飾を一切見に纏わない姿は、まさに質実剛健、生真面目でどこか取っ付きにくさも感じられます。しかし、その地に足のついた様子は、私はその町の金融の機能を持つ銀行であると私たちに自己紹介しているようにも感じられるのです。
現在は銀行の支店、マンションが立ち並び、その姿はあまり目立たないものになっています。60年前、木造の町屋建築がまだたくさんあった時代では、どのような姿だったのでしょう。その当時の姿を頭に思い浮かべつつ警備員の方にお礼を述べ、その場を去るのでした。