建築物探訪ブログ

旅行先で訪れた著名な建築物を紹介するブログです。

山梨文化会館

iPhoneSEから iPhone 11へと機種変更をし、性能が格段に向上したカメラを試したいところで折良く甲府市へ行く用事があり、訪れたかった山梨文化会館へ

 

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甲府駅から見る山梨文化会館

 

 山梨文化会館は、山梨放送山梨日日新聞社、又新社商業印刷の3社を包摂する総合社屋として建てられました。設計は広島市記念公園および記念館、代々木の国立屋内競技場そして東京都庁といった有名代表作を提げて戦後の日本建築界をリードしてきた丹下健三による設計で1966年の竣工となっています。

 直径5メートルの巨大な16本の円柱とコンクリートはつり仕上げ*1による粗野と雄々しさを兼ね備えた外観は圧巻です。

 

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山梨文化会館について 

 この建物は、新聞社、放送局の執務を行うオフィススペース、放送を行うスタジオスペース、新聞を印刷する工場スペース、また、甲府駅前という立地を生かしたショッピングスペースといった4つの機能から成り立ちます。オフィス、スタジオ、工場といった独自で高度な空間機能の要求やそれらの機能的な配置や連結、またそれぞれの機能の発展計画を含んだ含んだこの複合施設は、建築を超えた小さな三次元的都市であると言えるでしょう。

 この小さな都市を形作る上で重要な要素は16本の直径5メートルを超える円柱です。この円柱の内部には、エレベーター、階段、給排水管、空調ダクト、電気配線系統が内蔵され、これらの円柱によって機能毎のブロックのエネルギー、情報などの多様な連結を成り立たせます。フロアを支え、人やエネルギーを流動させる姿はまさにインフラストラクチャーといっても差し支えありません。

 また、将来発展計画はこれまでにも実行され、計6回の改修工事が行われています。実際に1966年当初の延べ床面積は18,085㎡、現時点での延べ床面積は21,883.51㎡となっています。このような環境に合わせて建物を変化、更新していく建築の考え方をメタボリズム*2と言います。

 

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正面玄関を入ってすぐのロビー。左手には巨大な円柱。

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間近で見る円柱。はつり仕上げによる粗野な質感。

  山梨文化会館では、「山梨文化会館100年計画」が進められ、2016年には耐震改修を行い、免震構造となりました。このような貴重で素晴らしい建物に対して保存の動きがありとても嬉しく思います。築50年を超えても未だ色褪せないこの建物が今後もこの場所に建ち続け、甲府のシンボルであり続けることを切に願っています。

 

*1:タガネと呼ばれる金属工具を用いてコンクリート表面を削り取った仕上げ面

*2:メタボリズムとは、新陳代謝を意味する生物学の用語から取られました。1960年ごろの建築界でのムーブメントで部分での交換が可能なデザインを行うなど社会や環境の変化に呼応する「成長と変化」する建築を目指したものです。