建築物探訪ブログ

旅行先で訪れた著名な建築物を紹介するブログです。

旧陸軍歩兵第四連隊兵舎/仙台市民俗資料館

この日は休日、どこかに出かけようと思ったら、生憎の雨模様。仙台駅からほど近い榴ヶ岡公園に仙台市民俗資料館があることを思い出し、足を運んでみることに。

 

旧陸軍歩兵第四連隊兵舎、仙台市民俗資料館は公園の片隅にひっそりと、力強く佇みます。

 

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旧陸軍歩兵第四連隊兵舎は、現存する宮城県最古の洋風木造建築で明治7年(1874)9月の完成とされ、昭和20年8月まで約70年間陸軍が使用し、戦後になると昭和31年(1956)まで米軍が駐留します。その後、昭和50年までは東北管区警察学校として使用された後、昭和52年(1958)榴ヶ岡公園整備に伴って旧陸軍歩兵第四連隊兵舎以外の建物は解体され、当建築は現在の場所に移築復元されました。

 

昭和53年(1978)仙台市有形文化財に指定された後、その翌年に仙台市民俗資料館として開館しました。

 

当建物は、木造2階建の寄棟造瓦葺で壁は漆喰塗りとなっています。

また、建物のコーナーはコーナーストーンで装飾し、窓は上げ下げ窓、曲面の屋根を持つ円柱の玄関ポーチといった洋風の特徴が見られます。

 

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この横に長いプロポーションは、装飾のないシンプルな上げ下げ窓、横に伸びる真っ直ぐな梁、軒のラインによってその水平性が強調されています。その直線で描き出される建物は、軍隊の施設であった厳格な雰囲気を伝えてくるようです。

 

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また、角のコーナーストーンは漆喰塗りの真っ白な単調気味になる外観にアクセントを加え、建物の外郭線を際立たせています。

 

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玄関ポーチの丸みを帯びた屋根は厳格な姿の建物にどこか穏やかさを与え、尋ねる人を優しく、柔らかく迎え入れてくれるようです。そして、ポーチの円柱は柔らかさに加え、気品を与えているように感じます。

 

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ロビーも落ち着いた雰囲気で、装飾も階段の欄干やささら桁に施された雲のような繰形程度となっています。

 

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仙台市の歴史を語る上でも、重要な当建築、この建築が正当な保存修復を受け、仙台市民俗資料館として有効に公開活用されていることにはとても嬉しく思います。歴史的建築物の保存活用には、学術的価値以外にも多くの市民に認識され、愛されることが重要なのだと思います。これからも多くの歴史的建築を多くの人々に伝えることに力を貸すことができたらと思っています。

 

仙台市民俗資料館

所在地:宮城県仙台市宮城野区五輪1-3-7(榴ヶ岡公園内)

入館料:一般・大学生/240円、高校生/180円、小学生120円

開館時間:午前9時〜午後4時45分