名古屋市公会堂
先日、名古屋市に行く用事があり、その合間に名古屋市公会堂を見に行くことに。
鶴舞駅を降り、鶴舞公園の噴水塔から北へ進むと名古屋市公会堂が見えてきます。公会堂は鶴舞公園の一角に位置し、公園を歩いていると木立の間からその姿を垣間見ることができます。
この建物の概要を説明すると、昭和5年(1930)年に開館し、地下1階、地上4階、大ホール(1562名)、4階ホール(780名)、集会室で構成されています。第2次世界大戦時では、防空部隊の司令部が置かれ、終戦後もアメリカ空軍の娯楽、厚生施設として利用され、名古屋市の管理の下に再び戻るのは昭和31(1956年)のことでした。
外壁は茶色のスクラッチタイル貼、全体的には直線を基調としつつも、コーナー部、窓枠においては曲線を用いており、この建築を見た第一の感想は非常に表現主義的だということでした。
表現主義は、20世紀初頭の欧州に見られた建築様式で、画一的ではなく、主観的、有機的といった表現に重きを置いたもので滑らかな曲線、流線型などが多く用いられます。
半円形の窓といった部分からは、表現主義の建築家であるオランダのハンス・ペルチィヒの建築を連想させられます。
東京(昭和4年)、大阪(大正7年)に引き続き、昭和5年に名古屋に公会堂が建設され、日本三大都市における公会堂が揃い踏みすることになりました。大阪では、ネオ・ルネサンス、東京はネオ・ゴシックと過去の欧州の建築様式を踏襲する形となっていますが、名古屋においては近代建築の要素を持つ、他とは雰囲気を異にするものになっています。
建築年:昭和5年(1930)
設計:名古屋市建築課